2014年9月20日土曜日

秋季特別展始まる

  今回の秋季特別展は「造形衝動の一万年 -縄文の宇宙、円空の衝撃、アール・ブリュットの情熱-」と題して、歴史系博物館としてはこれまでにない新たな視点で、造形への衝動をテーマに展覧会に取り組みました。人は古来より土偶や埴輪に見られるように様々な造形物を制作してきました。その後現在に至るまで、鉈彫りや神像彫刻、円空作品などの木彫像、さらには近年注目を集める、正規の美術教育を受けていない人が自発的に生み出す「生の芸術」アール・ブリュット作品など見えざるモノを感性と衝動のもとに可視化した特異な作品が作られ続けています。
  滋賀では特に粘土を使ったアールブリュット作品が多く作られていることに着眼し、人間が自由な感性のもとに創造してきた造形物を、一万年前からたどろうという企画となりました。
表現行為は様々な形態、技法で行われますが、人間にとって極めて生理的で、ナチュラルなものだと思います。湧き上がってくる情念、情動をどのように表現するか、土偶や埴輪に表現された精神世界、鉈彫(なたぼり)・粗彫(あらぼり)の木彫像を通じての祈りの世界、民族資料に見る精霊の世界、そして人間の根源的な「造形衝動」としての表現世界を感じながら、展示を見てていただけたらと思っております。
  この展覧会は、2004年に開設された近江八幡市にあるボーダーレス・アートミュージアムNO-MAのご協力を得て開催することができました。NO-MAさんはこれまでアールブリュット作品の公開の活動を続けてこられ、2010年フランス・パリで開催された「アール・ブリュット・ジャポネ展」の日本側事務局としても活躍されました。今回の展覧会では、すべてを紹介することはできませんが、ヴェネチア・ビエンナーレに出品された澤田真一さんをはじめ、鎌江一美さん、吉川秀昭さん、伊藤喜彦さんの作品・表現をじっくり味わっていただきたいと思います。
  会期中の日曜日に開催されます関連の講演会や講座では、専門家による具体的なテーマのお話しが聴けますので、こちらもお楽しみ下さい。9月21日にははたよしこさんの「生の芸術 アール・ブリュット」、 10月13日には小林先生の「縄文の造形宇宙」、11月9日には大槻倫子さんの「滋賀の施設で生まれた土の造形」、11月23日には水野先生の「埴輪にかけた造形美」をよていしております。また、10月12日には仏像鑑賞入門で湖北方面へのツアー、11月3日には親子向けに造形体験「心を形に」も企画しておりますので、ご参加いただければ幸いです。
  皆様のご来館をお待ちしております。

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