2016年11月8日火曜日

「スローな博物館」晩秋編

 安土城考古博物館は、片田舎のちっぽけな博物館です。
大きな博物館のような華やかさも、都会の博物館のような賑わいもありません。
JRの駅から徒歩だと25分もかかるし、道中は田んぼばかりです。
でも、途中には、季節の移ろいを感じられる風景や、安土城跡をはじめ歴史のロマンに誘われるスポットが一杯です。しかも、入館者が少ないので、充実した展示をゆったり観覧できます。(経営的には厳しいですが、、、。)

この「スローな博物館」の魅力を、安土駅からの道筋に沿ってご紹介しましょう。

まず、JR安土駅から安土城跡の方向へ少し回り道をすると、町はずれに「セミナリヨ跡」が現れます。
信長の命により、天正9年(1581)に宣教師オルガンチノによって創建された日本最初のキリシタン神学校と言われています。
いまは、公園の中に石碑が立っているだけですが、安土城跡を望みながら在りし日の姿を想像してみるのも楽しいかも。

「セミナリヨ跡」から見た安土城外堀の跡です。
いまは寂れていますが、安土城があった時代にはさぞかし賑わったことでしょう。
6月の「あづち信長まつり」の頃には、お堀めぐりの和船遊覧が行われます。

安土城の大手道入り口付近です。
往時には、安土城天主の威容を、ここから武士や庶民が仰ぎ見たのでしょうね。
麓には駐車場やガイダンス施設が整備されています。
登りは少し段差がきついですが、お年寄りや子供の足でも天主跡まで1時間もかかりません。途中には、伝羽柴秀吉邸や信長廟など見所が満載です。また、天主跡から見渡す琵琶湖は絶景です。
安土城跡から安土城考古博物館までは、徒歩でも10分、車なら5分とかかりません。

博物館前にやってきました。
博物館の前の田んぼには、イネのヒコバエ(刈り取った切り株から細い茎(ヒコ=ひ孫=と言います。)が生えたもの)が茂っています。
二期作のようですね。
博物館の背後の山は、佐々木六角氏の観音寺城跡がある繖山(きぬがさやま)です。

安土城考古博物館の裏手には広々とした芝生広場があり、いろいろな樹が茂っています。
若いイチョウの木の葉が黄色く色づいて、根元にはギンナンがたくさん落ちています。

繖山の麓近くの芝生広場では、この時期、イノシシが掘り返した跡が点々と見られます。
土の中のミミズを掘り起こして食べるためのようですが、山の中のエサが少ないのでしょうか?
いずれにしても、自然が豊かと言えば言えますね。
秋の西日を受けた安土城考古博物館の外観(裏側)です。

当博物館に至る道筋の魅力の一端を見ていただきました。
田舎の小さな博物館ならではの愉しみを感じていただけたでしょうか?
次は、あなたの目と心で確かめてください。


ギャラリートーク

 好評開催中の秋季特別展の展示内容について、この展覧会を企画した学芸員が、展示品を見ながら詳しく解説するギャラリートークを来る11月12日(土)午後1時半から開催します。
 重要文化財を含む数多くの展示品があるので、ややもすると頭の中がコンガラがりそうになりますが、学芸員の話を聞いて理解を深めてください。全体的な理解ができると、展示品を観る楽しみが何倍にも増えると思います。
 当館企画展示室にて行いますので、開始時刻までにご集合ください。
 参加無料ですが、特別展の入館料をお支払いください。
 なお、ギャラリートークは、11月23日(水・祝)と最終日の12月4日にも実施します。

2016年11月6日日曜日

安土の紅葉情報

 けさの安土は、雲一つない青空ですが木枯らしのような風が吹いていて、「天気晴朗なれど風強し」といったところです。
 朝晩は随分寒くなってきましたので、紅葉が楽しみになってきますが、安土の紅葉スポットと言えば「教林坊」です。
 観音正寺の子院として造営され、小堀遠州作の庭が美しいですが、何と言っても白洲正子が愛でた「かくれ里」として有名ですね。
 まだ、色づき始めたばかりのようで、見頃は11月中旬から12月上旬と言われています。

 また、当博物館から少し足を延ばしていただくと、湖東三山や永源寺の紅葉が有名です。
 紅葉狩りと併せて、当博物館の秋季特別展「飛鳥から近江へ−天智天皇の意図を探る−」をお楽しみください。

2016年11月4日金曜日

日本遺産

 琵琶湖を中心とする小宇宙とも言われる近江の国には、古くから「水の文化」が根付いており、「琵琶湖とその水辺景観」が日本遺産に認定されています。
 延暦寺や長命寺などの「水と祈りの文化」、近江八幡の水郷や高島市針江の水辺景観などの「水と暮らしの文化」そして鮒ずしに代表される「水と食の文化」といった切り口から滋賀県の「水の文化」をトータルに捉えたものが「日本遺産・琵琶湖」です。

 日本遺産・琵琶湖をご紹介するパネル展示を9月から続けていますが、今回は織田信長の目線を借りてみました。
 「もし信長が現在の日本遺産を見たら、どのように感じるか?」を想像しながら、ご紹介しています。
 当館エントランスホールで、12月11日(日)まで。観覧無料ですので、お気軽にご覧ください。

 なお、このパネル展示に関連する講演を、11月6日(日)13:30から当館セミナールームで開催します。
 講師は、滋賀県文化財保護協会の大沼芳幸さんで、予約不要・入場無料ですので、是非お立ち寄りください。(定員は、先着順で140名様)

2016年11月3日木曜日

お市茶会


朝晩は「寒~!」と言いたくなるほど冷えるようになって、早くも「秋深し」の感が漂ってきましたね。
そうした秋にふさわしいイベントが、きょう開かれた「お市茶会」です。
遠州流のお点前で、たくさんの方々に深まりゆく秋の一日を堪能していただきました。


 博物館講座のお知らせです。
 11月5日(土)13:30から、秋季特別展関連の「飛鳥と近江−天智朝前後の飛鳥−」を開講します。
 講師は、明日香村教育委員会の相原 嘉之さんです。古代史の舞台のど真ん中=飛鳥で長年発掘調査に携わってこられた相原氏から、秋季特別展で取り上げている近江遷都の時代前後の飛鳥の状況についてご紹介いただきます。
 会場は当館セミナールームで、先着140名まで。予約不要で、当日13:00頃から受付けを行います。参加費は200円です。
 奮ってご参加ください。 

(右の写真は、秋季特別展で展示している、雪野寺出土の童子塑像(京大総合博物館蔵)です。)

観音寺城跡の整備活動

 日本百名城の一つ、観音寺城跡を整備して地域の宝を磨き上げようという志を持った地元の有志「豊かな杜づくり隊」の呼びかけで、250名もの方々が集って、観音寺城跡にモミジを植樹する活動がきょう行われました。
 少し肌寒い天候のもと、趣旨に賛同して駆けつけた一般の方のほか、滋賀銀行や地元企業の皆さん総勢250名が安土の地に結集されました。
 一般からの参加を得て活動を実施されるのは、昨年に引き続いて2回目ですが、昨年を上回る人数と熱気が見られました。


 これまでに、大石垣の見える化(大石垣の周囲の木を伐って、新幹線から見えるようにする取組み)や登山道の整備、桜の植樹などを地道に続けておられますが、今回は登山道沿いにモミジを植えるイベントです。
 5年もすれば紅葉の名所になるとよいですね。



 大石垣の上にひるがえる「観音寺城」と大書されたノボリ

2016年11月1日火曜日

愛之助さんの「歴史捜査」

あさって11月3日(木・祝)にBS日テレ(BS11)で「片岡愛之助の解明!歴史捜査」が再放送されることになりました。21:00~22:00.
本能寺の変後の、秀吉のいわゆる「中国大返し」の謎に迫る内容で、当館蔵の秀吉書状写が紹介され、当館学芸員が解説しています。

是非ご覧ください。

なお、当館第2常設展示室では、安土城跡から出土した金箔瓦の実物を展示しています。
往時の華やかさがしのばれる瓦に、悠久の歴史を感じられる逸品です。
開催中の秋季特別展「飛鳥から近江へ−天智天皇の意図を探る−」や、第2常設展示室での特別陳列「お市と浅井長政」、修復文化財の特別公開(国宝級の中尊寺経などを展示)と併せてお楽しみください。