2015年11月13日金曜日

近江風土記の丘 今昔④

 近江風土記の丘を構成する史跡を紹介するシリーズの最後は、国の特別史跡安土城跡です。
 
 復元・整備された大手道です。
 滋賀県が20年の歳月をかけて行った発掘調査の成果を受けて、幅8~9m、大手門からの延長180mという築城当時の堂々たる姿が蘇っています。
 大手道の途中では、付近から徴発されたのであろう石仏が何体か顔を見せています。

 伝本丸跡を支える石垣。
 巨大な石材が使われています。

 安土城天主の跡です。
 柱を支えた大きな礎石が碁盤目状に並んでいます。
 ここに立っても、天主の大きさ・高さや華麗さは、なかなか想像しにくいものがありますが、地上6階、約30mの高さの壮麗な建物であったと言われます。現代の建物で言えば8階建てぐらいに相当するものですから、当時としては飛び抜けて巨大な建築物であったことになります。
 ご存知のように、城の代名詞である天守閣を初めて備えたのが安土城で、近世城郭の源流とも言われる所以です。
 また、他の城の「天守閣」と違い、「天主」という呼び方も安土城のみであり、これも安土城がいかに特別な存在かということを示す証拠の一つです。

 天主跡から琵琶湖を望む。
 琵琶湖の対岸の山並みや、遠く伊吹山も見えます。
 安土城築城当時は、安土山は内湖の湖面に突き出た形でしたので、もっと近くまで湖面が迫っていたと思われますが、信長が眺めた風景を想像することは出来ます。







 安土城考古博物館では、第2常設展示室で安土城と信長を中心テーマとして、様々な展示を行っています。

 安土山全体を俯瞰するジオラマです。
 第2常設展示室の入口で皆様をお迎えする位置にそびえ立っています。
 これでわかるように、当時は湖面に突き出した半島状の山の上に安土城は築かれました。
 
 大手道の道沿いに、伝羽柴秀吉邸など家臣の屋敷が築かれた様子を示しています。

 安土城天主の復元模型です。
 その姿を明確に示す設計図や絵画が残っていないため、往時の姿については、いくつもの説が提示されています。

 織田信長に関する資料を集めた「信長研究室」です。
 このほか、信長の顔を描いた何種類もの画像や、安土城跡から出土した金箔瓦(復元品)、織田軍団が使った長槍(復元品)などなど、安土城と信長に関する展示が所狭しと並んでいます。
 
 是非、お立ち寄りください。



  

2015年11月10日火曜日

11月15日の催し2題


 深まりゆく秋を満喫していただく催しとして、11月15日(日)に「お市茶会」を開催します。裏千家流茶道のお点前を楽しみながら、安土の地でお茶の文化に触れてみませんか?
 安土桃山時代は、茶の湯の文化が花開いた時代で、信長もお点前を楽しんだのではないでしょうか?
 今回は、信長の妹お市に焦点を当てたトピック展「お市を巡る男たち」にあわせて、秋の茶会を開きます。どうぞご参加ください。
 午前10時~午後3時。当館エントランスホールにて。予約不要で、定員は先着100名様まで。参加費は300円でお菓子付き。

 もう一つの11月15日(日)の催しは、当博物館内に併設されている整理室の公開です。
 県内の遺跡から出土した埋蔵文化財の調査・整理を行っている整理室の内部を特別に公開し、仕事の中身をご説明するというものです。整理中の遺物を実際に手にとってもらったり、クイズに答えたりと、埋蔵文化財の様々な魅力に触れていただけるイベントで、お子さん方にも楽しめる内容が満載です。奮ってご参加ください。(参加無料、予約不要)

博物館講座


 現在、第1常設展示室で開催中のトピック展示「蔵骨器と経筒」にちなんで、11月14日(土)に博物館講座「蔵骨器と経筒」 を開催します。
 講師は、高島市教育委員会の白井忠雄氏です。古墳が作られなくなった後、人々はどのような墓に葬られたのか、それはどのような信仰に基づくのか。考古資料を中心に解説していただきます。
 13:30から当館セミナールームにて。予約は不要で、先着140名様まで。当日、受付にて資料代として200円を申し受けます。

2015年11月8日日曜日

近江風土記の丘 今昔③


 近江風土記の丘を構成する史跡の今昔を紹介するシリーズの第3弾は、「史跡観音寺城跡」です。当博物館の裏にそびえる繖山(きぬがさやま)は観音寺山とも呼ばれますが、鎌倉時代から近江に勢力を張った佐々木六角氏がこの地に城郭を築いたのが観音寺城の始まりとされます。繖山全体を城砦としたと言われるほど大規模なもので、中世山城の代表格とも呼ばれ、「日本百名城」にも選ばれていますが、現在は整備の手が十分には及ばず、本丸後とされる所にも案内板がポツンと立っているのみです。


 左の写真は、伝本丸跡の裏虎口を守る互い違いの石垣で、往時の城の守備の堅固さを窺わせます。
 最近、地元安土の住民の皆さんが観音寺城跡の整備に取り組んでおられます。「豊かな杜づくり隊」の皆さんを中心に、住民や地元企業の方々が草刈りや樹木の伐採に汗を流してこられました。近くを走る新幹線の車窓から石垣が見えるようにしようと、この11月29日(日)に大規模な作業を計画しておられます。皆さんも参加してみては如何ですか?



 繖山には、西国第三十二番札所として有名な観音正寺もあります。聖徳太子が開創したと伝わる古刹で、信長が佐々木六角氏を滅ぼした際に荒廃の憂き目にあったとも言われますが、その後、人々の信仰の力で幾たびも復興しています。平成5年に本堂が焼失した際も、全国からの浄財で本尊と本堂を蘇らせておられます。

 
 当博物館では、観音寺城の在りし日の姿を示すジオラマなどを展示していますので、現地を訪れるのに合わせて、是非ご覧ください。

連続講座

 

 きょう、11月8日(日)13:30から秋季特別展にちなんだ連続講座「淀川水系の中期古墳」(全6回)の第1弾「大和川水系と淀川水系の前方後円墳」を開催します。
 講師は、国立歴史民俗博物館名誉教授で、古墳研究の第一人者である広瀬和雄先生です。大阪湾に注ぐ2つの河川流域に築造された古墳の比較検討を通じて、古墳時代に淀川水系が果たした役割について語っていただきます。
 当館セミナールームで。資料代200円。先着140名様までです。
 奮ってご聴講ください。

2015年11月3日火曜日

明日は休館日




 あす11月4日は、当博物館は休館します。お間違えの無いようにお願いします。
 11月5日(木)からは平常どおりのスケジュールとなります。
 またのお越しをお待ちしています。

文化の日

 
 昨日の雨もスッキリと上がり、深い秋空が広がる、文化の日の安土です。
 きょうも開館していますので、是非お越しください。

 当博物館では、深まりゆく文化の秋にぴったりの講座を立て続けに開催します。
 まず、11月8日(日)には、連続講座「淀川水系の中期古墳」の第1弾として、国立歴史民俗博物館名誉教授で古墳研究の第一人者である広瀬和雄先生が「大和川水系と淀川水系の前方後円墳」と題してご講演いtだきます。大阪湾に注ぐ2つの河川流域の古墳の比較検討を通じて、古墳時代に淀川水系地域が果たした役割についてお話しいただく予定です。
 13:30から当館セミナールームにて。予約は不要ですが、定員は先着140名となります。資料代等として200円申し受けます。
 
 つぎに、11月14日(土)には、開催中のトピック展示「蔵骨器と経筒」に因んで、高島市教育委員会の白井忠雄さんに「蔵骨器と経筒」の講演をいただきます。
 13:30から当館セミナールームにて。予約不要(先着140名)で、参加費は資料代等として200円です。

 その後も、以下のとおりオススメの講演会等が目白押しです。是非ご注目ください。
 ① 11月21日(土)13:00~ 連続講座「大田茶臼山古墳の築造と大和王権」(高槻市立今城塚古代歴史館館長・森田克行氏)
 ② 11月28日(土)       遺跡探訪クルーズ「琵琶湖から古墳を見る」・・・詳細は別途お知らせします。
 ③ 12月 5日(土)13:30~ 連続講座「恵解山古墳と向日丘陵の古墳群」(向日市埋蔵文化財センター・梅本康弘氏)
 ④ 12月19日(土)13:30~ 連続講座「久津川車塚古墳の造営」(城陽市教育委員会・小泉裕司氏)   
 
 この後も続々と興味深い講演等が続きます。乞うご期待!