現在、第53回企画展「表現された神と仏」を開催中ですが、常設展示室でも展示品を一部入れ替えて、皆様に楽しんでいただけるようになっています。
まず、右の写真は、第2常設展示室の「中世近江のムラむら」のコーナーに展示した「不明箱(あかずのはこ)」と呼ばれる品です。
現在の竜王町橋本地区に伝わる文書を入れた箱で、慶長18年(1613年)から慶応4年(1868年)まで、実に250年余の期間の地域の重要案件を記録した文書が保管されていたそうです。
こんなに長い間、脈々と地域の歴史が記録され、守られ続けてきたことは驚きであり、滋賀の地に昔から根付いていた「自治」の重みを感じさせる一品です。
また、京都や奈良のように、政治権力や巨大な寺社によって築かれたきらびやかな文化財ではありませんが、名もない民衆が守り、伝えてきた文化財(いわゆる「地付きの文化財」)が豊かに存在する滋賀県の魅力に改めて触れた気がします。
第1常設展示室でも、いくつかの展示替えを行いました。
左の写真は(写りが悪いですが)、大津市の「滋賀里遺跡」からの出土品を展示したコーナーです。縄文時代晩期の石斧、弓、鏃(やじり)などを展示しています。
古い時代から人々が暮らしを営んできた滋賀の地は、昔から豊かな土地柄だったことが窺われる品々です。
右の写真は、国宝・苗村神社西本殿の精巧な模型です。
現在の竜王町にあって、周辺だけでなく多くの人々の信仰を集める有名な神社ですが、この西本殿は1308年の創建になり、「三間社流造(さんげんしゃながれづくり)」という様式の建築で、檜皮葺の屋根を持っています。「流造」の代表的な建物として国宝に指定されています。
模型は、企画展示室前のスペースに移して展示しています。
安土城考古博物館では、特別展、企画展以外にも、このように常設展示についても工夫しながら内容を新しくしています。
「もう何度も行ったことがある」という方も、こんど当博物館を訪れていただいた時には、常設展示室にも足を運んでみてください。今まで見たことのない文化財に触れ、新たな感動を得られると思いますよ。
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